珈琲にカフェインが含まれるのは周知の事実で、それによって目が覚めることも常識です。


朝の目覚めに珈琲が必要だという方は、とても多いのではないでしょうか。

しかし、それだけではありません。カフェインには筋肉の収縮力をアップさせる作用もあり、
通常より強いパワーを発揮することが可能となるのです。

筋肉が収縮するときは「筋小胞体」というところからカルシウムイオンが放出されるのですが、
カフェインにはこのカルシウムイオン放出を増やす作用があるため、筋肉を強く収縮できるのです。

さらにカフェインは脂肪の分解を促してくれます。脂肪分解酵素である「ホルモン感受性リパーゼ」は
ノルアドレナリンによって活性化するのですが、カフェインはノルアドレナリンを分泌させて、ホルモン
感受性リパーゼを活性化するのです。

つまりカフェインは身体づくりに良い影響を及ぼしてくれるのです。しかし珈琲の飲み過ぎは良くないと
言われていますが、それは大丈夫なのでしょうか。

珈琲には「クロロゲン酸」というポリフェノールが含まれ、これを細かく分けるとカフェ酸やキナ酸、フェルラ
酸などがあります。この中で特に健康への良い効果を持っていると考えられるのがカフェ酸です。これは
グルタチオンを増やして肝臓での解毒作用を高め、また悪玉コレステロールの害を抑えてくれる作用もあります。

日本で行われたコホート研究では、珈琲を良く飲んでいる人ほど子宮体癌の発生率が低いことや(※1)、
珈琲摂取量が多いと肝臓癌の発生リスクが低くなること(※2)、

男性の膵臓がん発生リスクを減らす傾向にあること(※3)、女性の浸潤結腸癌を予防すること(※4)などの
報告が国立がん研究センターから発表されています。

また珈琲は心臓に悪いと考えられがちですが、実際のところはそうではありません。普段から珈琲を飲んでいる
場合は血圧に与える影響は無視できる程度であり(※5)、10本のRCT論文と5本のコホート研究を基にしたメタ
アナリシスや140万人の看護師を対象にした研究でも、一日6杯程度の珈琲を飲んでも全く血圧に与える影響は
なかったとされています。(※6※7

普通の量(一日6杯程度まで)でしたら、特に問題なく珈琲のメリットを享受することができますので、身体づくりや
健康のためにもぜひ珈琲を毎日飲んでいただきたいと思います。
※1Coffee consumption and risk of endometrial cancer: a prospective study in Japan.

Int J Cancer. 2008 Nov 15;123(10):2406-10. doi: 10.1002/ijc.23760.
※2

Effect of coffee and green tea consumption on the risk of liver cancer: cohort analysis by hepatitis virus i
nfection status.

Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2009 Jun;18(6):1746-53. doi: 10.1158/1055-9965.EPI-08-0923.
※3Green tea and coffee intake and risk of pancreatic cancer in a large-scale, population-based cohort
study in Japan (JPHC study).

Eur J Cancer Prev. 2007 Dec;16(6):542-8.
※4Coffee consumption and risk of colorectal cancer in a population-based prospective cohort of Japanese
men and women.

Int J Cancer. 2007 Sep 15;121(6):1312-8
※5Tolerance to the humoral and hemodynamic effects of caffeine in man.

J Clin Invest 1981; 67: pp. 1111-1117
※6The effect of coffee consumption on blood pressure and the development of hypertension:
a systematic review and meta-analysis.

J Hypertens. 2012 Dec;30(12):2245-54. doi: 10.1097/HJH.0b013e3283588d73.
※7Habitual caffeine intake and the risk of hypertension in women. JAMA 2005; 294: pp. 2330-2335



軟骨に多い型コラーゲン

膝が痛くなって病院に行ったら、「膝の軟骨がすり減っていますね」と言われた。そう言われた経験のある人は多いのではない
でしょうか。 体重が重かったり、激しいスポーツをしたり、怪我をしたりすると膝に負担がかかり、軟骨がすり減ってしまって痛
みが出てくるのです。これを変形性膝関節症と呼びますが、前回の「コラーゲンの真実は」でも紹介したとおり、コラーゲンを摂
ることで変形性膝関節症の改善が見られたという報告があります。しかし、さらに効果を高めることができるかもしれません。

一般的にコラーゲンと言う場合、それは型コラーゲンです。コラーゲンにはいくつかの種類があるのです。
現在、コラーゲンは30種類ほどが確認されていますが、そのほとんどが型か型、型です。関節でいうと型は皮膚の
ほかに腱や靭帯、硬骨。型は軟骨や目の硝子体に存在し、型は皮膚や血管壁に存在します。
そのため、軟骨のケガの場合は型コラーゲンを摂取することが必要となります。軟骨のうち、実に15~20%型コラーゲン
で、他の大部分は水分となります。

型コラーゲンで腱と靭帯、型コラーゲンで軟骨の材料を摂取すれば、結合組織を全体的にサポートしていくことが可能と
なります。

また「コラーゲンの真実は」で解説したとおり、細胞外マトリックスは主にコラーゲンを構成物質としますが、それ以外に「ヒアル
ロン酸」や「プロテオグリカン」を必要とします。このとき、ヒアルロン酸を木の幹に例えると、木の枝はプロテオグリカンと呼ば
れるものからつくられます。ヒアルロン酸とプロテオグリカンを合わせて「グリコサミノグリカン(GAG)」と呼びます。

このGAGも肌を綺麗にしたり、強い関節をつくったりするのに必要となってきます。「型コラーゲンと型コラーゲン、そして
GAG」。この三つが強い筋肉と骨、関節を手に入れるのに必要となってきます。



コラーゲンの真実

私たちの身体は36兆個もの細胞から作られています。そして細胞の外には細胞どうしをくっつける接着剤のような物質
が存在し、それを「細胞外マトリックス(ECM)」と呼びます。

そしてECMの主成分、それがコラーゲンです。

コラーゲンは主にグリシンやプロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニンなどのアミノ酸から構成されるタンパク質です。
つまり体内でつくることができます。

しかし、それだけでは足りません。加齢によって体内で合成できるコラーゲンはだんだん減っていくのです。

そこで外部からコラーゲンを摂ることに意味が出てきます。ひと昔前までは、コラーゲンを摂ってもアミノ酸に分解されて
しまうため、意味が無いと思われていました。

しかし実際にコラーゲンを摂ることによって、変形性膝関節症の改善がみられたり、肌のバリア機能や保湿機能を高めたり、
実際に肌のコラーゲンが増えたりといった作用が報告されています。(※1, ※2, ※3, ※4, ※5

理論的にはコラーゲンがペプチド状態で血中に入り、それを受けて「コラーゲンの分解が起こっている」と身体が判断し、
線維芽細胞を活性化してコラーゲン合成を活発にするのではないかというメカニズムが考えられます。

またコラーゲンは筋肉や筋力を高める可能性もあります。高齢者がトレーニングを行いつつ、15gのコラーゲンペプチドを
摂取したところ、除脂肪体重や筋肉量、筋力に顕著な改善を認めています。(※6

コラーゲン由来のジペプチドである「ヒドロキシプロリン+グリシン」が、筋芽細胞の分化や筋管の肥大を促すという研究
※7)もありますので、コラーゲンの筋発達効果は充分に考えられるところです。

※1 Role of collagen hydrolysate in bone and joint disease.

Semin Arthritis Rheum. 2000 Oct;30(2):87-99.

※2Nutraceuticals as therapeutic agents in osteoarthritis. The role of glucosamine, chondroitin sulfate, and collagen hydrolysate.

Rheum Dis Clin North Am. 1999 May;25(2):379-95.

※3Oral collagen-derived dipeptides, prolyl-hydroxyproline and hydroxyprolyl-glycine, ameliorate skin barrier dysfunction and alter gene expression profiles in the skin.

Biochem Biophys Res Commun. 2015 Jan 9;456(2):626-30. doi: 10.1016/j.bbrc.2014.12.006. Epub 2014 Dec 8.

※4Oral supplementation of specific collagen peptides has beneficial effects on human skin physiology: a double-blind, placebo-controlled study.

Skin Pharmacol Physiol. 2014;27(1):47-55. doi: 10.1159/000351376. Epub 2013 Aug 14.

※5Collagen hydrolysate intake increases skin collagen expression and suppresses matrix metalloproteinase 2 activity.

J Med Food. 2011 Jun;14(6):618-24. doi: 10.1089/jmf.2010.0085. Epub 2011 Apr 11.

※6Collagen peptide supplementation in combination with resistance training improves body composition and increases muscle strength in elderly sarcopenic men: a randomised
controlled trial.
Br J Nutr. 2015 Oct 28;114(8):1237-45. doi: 10.1017/S0007114515002810. Epub 2015 Sep 10.

※7The collagen derived dipeptide hydroxyprolyl-glycine promotes C2C12 myoblast differentiation and myotube hypertrophy.

Biochem Biophys Res Commun. 2016 Sep 23;478(3):1292-7. doi: 10.1016/j.bbrc.2016.08.114. Epub 2016 Aug 21.